「税理士の選び方が分からない」
新しく会社を設立した経営者の多くがこうした「税理士の選び方」に関する悩みを抱えています。実際、私自身もそうした声を耳にすることが多く、世の中には税理士の選び方について頭を抱えている経営者が多いのではないかと感じました。
そこで、そうした疑問の解消の手助けとなれば、と今回「税理士の選び方」について記事を作成しました。税理士は会社を軌道に乗せる最良のパートナー。いい加減な理由で決めるのではなく、きちんとした基準で選ぶべきであると考えています。
今回の記事では「正しい税理士の選び方」について詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
まずチェックしておくべきポイントであるのが「スピード対応の可否」。これは、良い税理士の選び方の基本でもあります。
新しく会社を設立したばかりのことは売り上げが無いことがほとんどで、さらに経営者自身も税務や融資に対する知識も十分ではないことが多いです。そのため、資金不足や必要以上の税金を支払ってしまうリスクもあります。
そうした状況でレスポンスの悪い税理士では、せっかくのビジネスチャンスを逃すことになったり、ロスが発生する可能性があるため、税理士を選ぶ際には「対応が早い税理士を選ぶことが必須といえます。税理士の選び方で迷った際には、まず重要視すべきポイントです。
ホームページ上の「専用フォーム」「メール」などでお問合せをした際に、どのくらいで返信が来るかをチェックしてみましょう。
理想は「即日対応」なので、数日後に返信が来た場合はレスポンスの悪い税理士である可能性があります。
面談日程の取り決めがスムーズにいくかどうかも見極めポイントの一つです。
「今忙しくて、面談が2週間後になってしまいそうです…」といった、面談日程がかなり先になってしまう場合は避けた方が良いかもしれません。
税理士に決める前に「見積もり」を作成してもらうことがほとんどですが、依頼してから送られてくるスピードもチェックする必要があります。
2営業日以内が理想であるため、それ以上の起案を要した場合はスピード対応のできない税理士である可能性が高いです。
「態度」の面をチェックすることも失敗しないための選び方の一つです。
税理士の中には偉そうな態度で顧客満足を意識していない税理士が一定数存在します。税理士はサービス業の一つですが、その意識が低い可能性があり、経営者に寄り添った提案や考えを提案してもらうことが難しくなります。
こちらの要望を聞いてもらえない、顧客ごとの業界の情報収集不足、古い考えや経験による提案の押し付け、などのトラブルに巻き込まれてしまうリスクがあります。
これでは、税理士に相談しにくくなってしまいますし、経営改善がスムーズにいかない原因にもなってしまいます。頼られることに慣れた税理士の中にはこうした偉そうな人、「先生」と呼ばれて勘違いしてしまっている人もいますが、あくまで税理士はサービス業です。
態度をよくチェックし、偉そうな雰囲気を感じた場合には仕事の依頼は避けることが良い税理士の選び方の一つです。
アポをとって訪問したにも関わらず5分以上待たされてしまう場合は、言動には出ていなくても「自分のほうが偉い」といった認識を持っている可能性があります。
税理士の身だしなみが乱れている場合、「顧客に不快感を与えてはならない」といった意識が低い可能性があり、自分の立場が上であると考えている傾向にあります。
「敬語を使わない」「依頼されてあげているという認識」「話してる最中のしぐさや姿勢が悪い」など、こうした内容に当てはまる場合は注意が必要です。
依頼者が「創業したばかりの状況」という前提を把握しておきながら、一般的に知られていない税理士の料金の内容やサービスの詳細の説明が不足しているという税理士はあまり信頼しないほうがよいといえます。
こうした税理士は説明のみならず、仕事の品質も低かったりサービス業である意識が低かったりする可能性があります。また、「最初は雰囲気のよい税理士だったのに契約後は雑な態度と仕事ぶり…」といった問題に悩まされることもあるかもしれません。
そもそも、ビジネスにおいて抽象的なことばかり話す税理士は、ビジネス感性が希薄であると考えられます。金額・回数・業務の対応範囲などをきちんと具体的な数字を用いて明確にしてくれる税理士を選ぶことが失敗のない選び方なのです。
まずは、金額面が具体的に明示しているかどうかを確認してみましょう。おおよその金額ではなく、実際の金額が明示されているかどうかがポイントです。
指定の金額内でどこまで対応してもらえるのかを明示しているかどうかも見分けるポイントの一つです。こちらから質問しなくても、税理士から説明があると尚良い税理士でしょう。
説明の中には具体的な「回数」「期間」などの数字が含まれているかどうかも確認が必要です。曖昧なことばかりを並べていないかさりげなくチェックしてみましょう。
税理士の中には「節税積極派」と「節税非積極派」が存在します。しかし、実際のところ日本の税理士は節税しに対して消極的である傾向にあるのです。理由としてはそもそも節税が税理士の仕事ではない、ということが挙げられます。
法律上でも「税理士の仕事は適切な納税をサポートする」とされており、基本的には税理士の対応範囲外といえるのです。特に、長く経営している税理士はこの傾向が強いように感じます。
また、「最近の若手の税理士は節税に積極的」といった話を耳にすることもありますが、「節税」「脱税」の境目の判断は人によって異なるため、無条件に信用するのは危険です。
さらに、業界特有の事情を加味しない税理士であると、無用となるリスクがあります。良い税理士の選び方としては、自分の業種においてどのような節税方法があるのかを説明してくれる税理士を探すことが挙げられます。
自分の対応範囲を広げてくれる税理士を探すことが良い税理士の選び方につながるのです。
面談・お問合せなどで「節税は積極的に行いたい」という意向を伝えてみましょう。その際の税理士が賛同してくれるか否かである程度税理士の方針を見抜くことができます。
自分の業界においてどのような節税方法があるのかを具体的に説明してくれるか、という点も確認しておくとよいでしょう。
税理士の選び方として、特に創設間もない経営者が意識すべきなのが「資金調達」に強い税理士かどうかです。
会社を大きくしていく過程において、どこかのタイミングで資金調達が必要になる可能性は高いです。現時点ではその予定はないと考えていても、資金調達に強い税理士でないと、いざ会社を大きくする、という際に非常に苦労する可能性があります。
しかし、資金調達はそもそも税理士の仕事ではありません。それでも資金調達自体は経営と切り離せない課題であるため市場のニーズに対応し、資金調達を行う税理士は増えてきています。実際、若手の税理士の多くはサービスに資金調達支援を取り入れていることがほとんどです。
ただ、資金調達の申請には「決算書」「事業計画書」を作成するのですが、これは返済計画や事業状況のポイントをおさえて作成できるかどうかで受注率は大きく変動します。そのため、資金調達に関する能力が高い税理士を選ぶことが正しい選び方の重要ポイントでもあります。
資金調達に強いかどうかは、税理士としての経験の長さとは関係ありません。「資金用達の経験が多い」ということが参考になる要素となります。
過去に、どのくらいの受注申請が通過し、調達ができたのかを確認してみましょう。これにより、資金調達に関する能力をある程度図ることができます。
金額や受注率、業務のエピソードなどが具体的であるかどうかを確認しましょう。抽象的な話ではなく、数字を取り入れた具体性があるかが見分けるカギとなります。
役員報酬決めのアドバイスをしてくれるかどうかも良い税理士選びに欠かせない要素です。
会社を設立したら最初に決めるのが「役員報酬」です。社長の報酬が高いと会社の利益が減少し、社長の報酬が安いと会社の利益が増加します。今後の会社経営に大きく関わる要素であるため、慎重に決めなければなりません。
まず、納税額については役員報酬の決め方次第でトータルの納税額が大きく変動します。基本的に、役員報酬が高くなると社長個人の法人税が高額になる傾向にありますし、役員報酬を低くして会社の利益を多くすると法人税が高額になります。多いケースでは200~300万円もの支払額の変動があるのです。
また、役員報酬の決め方次第では今後の融資受給ができる可能性が低くなってしまうこともあります。役員報酬が多い場合は会社の利益が減少するため、その分決算書上では会社の経営状況が悪く見えやすいです。そのため、銀行からの目も踏まえて考えなければなりません。
さらに、会社の利益に対して不当に高額な役員報酬であると判断された場合は損金扱いされずに、金額に応じて課税されてしまうこともあります。
これらの状況をふまえた上で役員報酬の最適な決め方は、期首に今後の利益計画を確認しながらしっかりと役員報酬のシミュレーションをしてくれる税理士と相談しながら考えることです。
税理士の選び方のポイントでもあるのでよくチェックしておきましょう。
役員報酬の相談に乗ってくれるかどうかを、問い合わせ時や面談時などにきちんと相談しておきます。この際の返答で税理士の対応範囲がある程度明確になります。
税金の支払い額や、銀行への見え方、会社の利益、自身の利益などどのような観点から役員報酬を決めるのか具体的に説明してくれる税理士がおすすめです。
ちなみに、役員報酬を決める際の基本は「税金の支払い額」「銀行への見え方」の2つなので、税理士がどのような説明をするのかきちんと耳を傾けましょう。
意外と重要視されていない選び方が「税務調査」に関するものです。
税務署が調査委に入った場合、顧問の税理士がいる場合立ち合いを依頼することになります。この場合、税務署に強い税理士(税務調査の立ち合いに慣れている税理士)でなければ追徴課税をされてしまう可能性があるのです。
まず重要なのが税理士が「依頼者と税務署どちらの味方か」というもの。税務署が指摘してくる内容に対し、論理的に反論できる税理士でなければ、税務署のいいなりになってしまう可能性があります。
あの手この手で問い詰めてくる税務署に反論するための意見・資料の提示などができる税理士が必要です。
ちなみに、税務署職員は年間数十回の税務調査を行っています。若手の税理士や、対応に不慣れな税理士では切り返すことが難しいでしょう。
そのため、交渉や反論に慣れている「税務署に強い税理士」を選ぶことが大切です
意外と見落とされやすい「選び方のポイント」でもあるのでよく頭に入れておきましょう。
過去の税務署調査の立ち合いについて質問をしてみましょう。
その際のエピソードが具体的であるかどうかで、「本当に税理士に強いか」が分かります。
大きな税理士事務所と契約をすると、担当者が新人になることがあります。誰もがはじめは新人であるため、必ずしも新人は避けるべきというわけではありませんが、創業してまもない経営者の場合は、優秀な税理士を経営のパートナーにしたほうが良いと考えています。
新人税理士では、自分の業界の事情について認識が不足していたり、過去の経験をもとにした具体的なアドバイスが難しい傾向にあるため、できるだけ経験豊富な税理士に担当してもらうことをおすすめします。
しかし、一つ注意点があります。それが「ベテラン税理士と商談したものの、契約後の担当が新人に変更される」というもの。税理士事務所の所長の多くは「新人に経験を積んでほしい」と考えていて、新人研修の場として使われてしまうことが意外にも多いです。
新人税理士には高額な顧問料が発生するような大きな会社を担当させられません。そのため、まずは少額でかつ会社自体の売上が少なく処理が簡単な創設まもない経営者がターゲットとされてしまうのです。
後の担当の変更は可能ですが、関係性にヒビが入る可能性もあるためあまりおすすめできません。税理士選びで失敗しないためにも、契約に入る前に担当者についてきちんと確認しておくことが正しい選び方となります。
契約を済ませてしまう前に、担当者は誰になるのかについて確認し、その確約を貰っておきましょう。
担当者について聞いておくことも大切です。
経験年数は最低でも5年はあったほうが良いでしょう。
税理士の選び方は決して簡単なことではありません。慎重に行い、自分に合っている税理士を探すことが大切です。
時間や手間がかかることではありますが、長く深い付き合いができる税理士を選ぶことが、企業の成長を大きく左右します。
だからこそ、税理士の選び方についてはきちんと把握しておかなければなりません。
おおつか税理士事務所は初回無料相談を行っています。税理士の選び方で迷ったり、困ったことがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。